クランキング独論

最終更新日 2004年02月15日


  はじめに
私はクランキングが一番好きです。とにかく「クランクを投げたい」「クランクで釣りたい」本能が求めている気がします。なぜ好きなのかいろいろ考えてみると理由は結構ありますが、最も本質的な理由はせっかちな性格のせいだと思います。
まずワームやスピナベ、バイブを目的の水深に落とすまで待てません。私がワームのリグで最もよく使うのがスプリットリグですが、シンカーは#4というかなり重めの物を使います。水深10mでも底が取れるのにそれを水深に関係なく使っています。これも待てないというのが大きな原因だと思います。
スピナベやバイブといった早く巻くと浮き上がってしまうものもなんかしっくりきません。
巻けば巻くほど最大潜行深度に近づいて行くクランクが私のベストルアーとなっています。

まあそんなことはどうでも良いのですが、そんなクランク好きな私はクランクを引くことがたぶん普通の人より多いと思います。バス釣り暦も20年を越えていますので、腕はともかくクランク使用時間だけはかなりなものだと自負しています。
  クランキングとは
クランクをはじめハードルアーの釣りはバクチだと思われがちです。これは必ずしも間違いではないと思います。むやみに投げているだけではバクチだと私も思います。しかし実際やり込んでみると決してバクチではないと断言できます。

クランクキングは経験を積み重ねて釣れる確率を少しずつ上げていく釣りだと思っています。自分の経験で掴んだ一つ一つのセオリーはどれもがほんの少しだけ釣れる可能性を上げる要素に過ぎません。逆に言うとこうすれば必ず釣れるといったシークレットは存在しないと思いますし、あるとしたら色々な要素を積み上げた後の最後のピースとなるものではないでしょうか。シークレットを聞いた人間がそれを知っただけですぐ釣れるようなものはありえないと思っています。

クランクを使いこなしている人にクランクについて聞くと「投げて巻くだけ」とか曖昧な答えが返ってくることがあります。もちろんしっかり分析している人はキモを話してくれるかもしれませんが、多くの場合は「投げて巻くだけ」といった曖昧な答えが多いはずです。
「投げて巻くだけ」という言葉には本人は無意識のうちにやっている事柄が自分では無意識のために投げて巻いているだけのように錯覚しているか、質問者の経験では説明しても理解できないと判断して「とにかく投げて巻け」というアドバイスになっているのかもしれませんが、「投げて巻くだけ」というのはうそだと思います。
例えばその人のバックシートに乗せてもらってクランクの釣りを見てみましょう。数投を観察するだけで、疑問が沸くはずです。「何でこのポイントに入ったのか?」「あそこに投げてここに投げないのはなぜだ」など。この質問を素直にぶつけて見ると「釣れそうだから」といった、またもや曖昧な答えが返ってきそうですが、しつこくドチテ坊やになって聞きまくってみると、そのうち、「風が当たってるから」「この時期張り出しに着いていることが多い」「ベイトがさしている」など実はその人なりの明確な答えがあります。

実は私もつい最近まで無意識にクランクを使っていました。そこで自分のクランクの釣りを真剣に分析してみた結果、意外に多くのことを考えてやっていることに気づきました。
そこで2004年2月現在、私が考えているクランキングについてまとめてみました。これらは私の今現在のセオリーであって、「クランクはこう使うものだ!」といった固定的なものではありません(一部そういう記述も含まれるかもしれませんが)。あくまで「私はこう使っている」と言うものであるので、クランク使いの方は「自分とはちょっと違うな」とか「そんな考えもあるのか」といった感じで読んでいただき、これからはじめようという方は「それが正解かは分からないが取りあえず一つの考え方なんだろう」といった感じで、みなさんがクランキングについて考えるきっかけになれば幸いです。
  クランクの使い方
それではまずはじめに私のクランクの使い方について概要を簡単に紹介します。
用途
私の場合、魚の居所がピンスポットで絞れている場合、ハードルアーを入れて魚をスレさせることはせず、いきなりワームを撃ちます。それが朝一であろうと活性が高かろうと、そこにいることがわかっていればワームを打ちます。その方が効率がいいからです。ただほとんどの場合、そんなおいしいピンスポットを持っているわけではないので、基本的にはハードルアーでサーチしていきます。
巻物であれば一投にかかる時間も短く、魚がルアーに気づく範囲もワームに比べて広いので、例えばワームが50cm間隔で打つところをクランクは2m間隔で打っていけば良かったり、同じ時間であれば広いエリアをサーチして状況を目で見ていくことができます。
これは非常に大きなことだと思います。広い範囲の状況を把握できると言うのは、釣りの展開より早く進めることができということです。例えば初めての釣り場に釣りに行き、ボート屋の近くに水はそれほど良くないがそこそこ良さげなポイントがあったとします。そこで「ワームで粘るってどうよ?」と考えると、私はさっと流して通り過ぎます。もしかしたら他の場所はもっと水が良いかもしれないし、ベイトが豊富なエリアがあるかもしれません。その時期に可能性の高いエリアをざっと状況を見ながらクランクでチェックし、それから気になるポイントでワームを入れるなどして時間を使えばよいと思います。そうすることにより1日に見れるエリアが広がり、次回からポイントの絞込みが楽になるはずである。
(もちろん行きなれた釣り場でポイントが絞れている場合には最初からワームを打ってもいいと思います)

ということで私にとってクランクの使い時は「常時」ということになります。たぶん「ハードルアーは釣れる気がしない」「使っても釣れない」と感じている方はワームのようにそこにいる魚を食わせようと思っているからだと思います。よく広告などで「ワームに反応しないバスにスイッチを入れる」とか目にします。確かに魚にスイッチを入れるというのは私も体感することがありますが、そもそもクランク(引き物系)とワーム(置物系)では用途が違います。そこにいる魚を食わせる能力は使い方にもよりますがワームとは比較になりません(ワームの方が上です)。ごくごく限られたシチュエーションでの話を常日頃の基本のように考えるのはまずいと思います。

クランクの使用目的は究極的には魚の反応見るためのサーチです。釣れなくても状況は見て回れます。水の良し悪し、生命反応の有無、水中の変化、水温、風の方向と当たり具合などなど多くの情報を収集できます。
初めはそれでいいと思います。
逆にやってはいけないのはオカッパリなどで漁港とか混雑した場所の人の隙間に入ってクランクを投げることです。
クランクはそういうルアーではありません。それでは結果が出るはずがありません。例え釣れたとしてもそれは本質とは違います。

また釣れないといって30分や1時間でやめていてはいつまでたっても上達しません。釣る確率は使いながら少しづつでも上げて行く...クランキングとはそういう釣りではないでしょうか。
クランクの利点
前述のようにクランクには広く探れると言うメリットがあります。ただそれはスピナベにもいえるし、バイブも同じです。クランクでなければならない点があるはずです。
それは「水中を立体的に捉えること」だと考えています。スピナベもバイブも基本的には面の釣りだと思います。もちろんカウントダウンや巻き速度によってある程度深度調整できますが、集中しないといけませんし、いくらカウントダウンさせてもいつもの自分のペースで巻いてしまうと浮き上がってしまいます。
また通常は2,3m程度が限度でそれ以上は難易度も高いです。ルアーを変えてもそれほど劇的にトレースできる深度が変わることもありません。

クランクはルアーによって潜行深度は決まっています。常に自分のペースで巻いてもルアーをセレクトすることで潜行深度を最大4m程度まで自由に切り替えできます(せっかちな私には最大の利点です)。
逆に言うとルアーセレクトが非常に重要とも言えます。クランクには非常に多くの種類があり、潜行深度も違えば動きも違います。これらを自分の狙いに応じてセレクトすることが重要です。このルアーセレクトの精度が釣る確率と比例するのは言うまでもないでしょう(私なりのルアーセレクト方法は後述します)。
水中の立体的な想像
クランキングにおいて「水中の立体的な想像」が非常に重要な要素だと思います。
これは色々な意味で重要ですが、一つにルアーの立体的な位置を常に把握して釣っているのとそうでないのでは効率が全く違ってきます。把握するのはあくまで立体的な位置であって平面的に着水地点からどのくらい巻いたから自分までどのくらいの距離かと言ったものではありません。

例えば使うルアーの潜行深度以上の深さまでなだらかに落ち込んでいる岸に向かってボートからルアーを投げたとします。使うルアーによってははじめのうちはボトムをノックできるかもしれませんが、ある地点から必ずボトムノックしなくなります。この後、ピックアップ(高速リトリーブ)してもよいでしょうし、途中でジャークを入れたりしてもよいでしょう。ただ漠然と巻くのも意図してやれば良いかもしれません。
ただ少なくとも毎回漠然と巻く必要はないと思います。適度にローテーションさせボトムを捕らえなくても食わせる可能性を追求することができます。これを繰り返せば少なくともボトムや障害物に当てなければ食わない状況だとある時点で見切りをつけることができます。そうすればその後はずっと回収作業にしていけば、少なからず効率は増すはずです(もちろんジャークして食うならジャークベイトに変えても良いでしょう)。

また立体的に位置を把握するためにはルアーがどの時点で最大潜行深度に到達するかも把握する必要があります。これは使用タックルと飛ばした距離によっても変わってくるので使用時の感覚で把握する必要があります。これはルアーを使い込んでいけばなんとなくわかるようになります。

このような把握ができれば岸の落ち込む角度や魚探に出る水深と岸との距離でボトムの角度が予想でき、使うルアーを自分の狙いに応じて的確にセレクトすることができることができます。
例えば潜行深度2mのクランクをショアラインすれすれにキャストして5m程度ボトムをノックさせて後は回収し、その後ロッドを変えて潜行深度4mのルアーを岸から1,2mのところにキャストし、10mくらいボトムをノックさせて使うといったローテも有効です。交互に投げ分けなくても往路、復路でローテしても良いです。実際このやり方で復路で食ってくることがあります。もちろんたまたま魚が回ってきただけかもしれないし、往路での攻め損じかもしれませんが、私の経験では違うと考えています。
別の方法としては潜行深度4mのクランクだけでロッドを立てて使うなどして深度調整しても良いですが、潜行深度の浅いクランクの方が小さかったり弱かったりして使いやすく食いやすいメリットがありますので、私はほとんどの場合、前者の方法で攻めます。

とにかくこの項目はクランキングにおいて重要度が非常に高いので常に意識しておきたいことだと思います。
ルアー操作と動き
障害物に接触したときにポーズを入れたり、立ち木沿いに浮かしたり、濁ったときはスローに引いたりもしますが、基本的にはただ巻きです。それもごく普通に自分のリズムで巻くことがほとんどです。
よくクランクベイトでもジャーク時の動きなどが広告で触れられてたりしますし、私自身もクランクのアクションに変化をつけたりしてジャークにこだわったりした頃もありましたが、はっきり言ってクランクはただ巻きのアクションが全てです。少なくとも普通の状況では止めたりジャークを入れたりすることでバイトする魚より、見切ってしまう魚の方が多いと思っています。それより途中でいきなり巻き速度を速めたりした方が効果的です。ですからクランクに必要とされるアクションは「早く巻いてもゆっくり巻いてもしっかり泳ぐこと」が最重要だと思っています。
ただもちろん例外もあり、春先などの低活性時は止めないとルアーに追いつけないとか、ジャークすることで魚に存在を知らしめたりすることは必要になる場面もあります。そういうときはしっかり止まるルアーを使うことが大事だと思います。
カバークランクキング
カバークランクキングは呼んで字のごとく、カバーに対してクランクを突っ込んでいく釣りです。「普通はスピナベを引くでしょ」と言いたくなるくらいの密集した立ち木群や構造物などのハードストラクチャが対象となります。
カバークランクではカバーにルアーが当たる前にラインが擦れる前触れがあります。この前触れからカバーとルアーとの距離を判断し、ルアーがカバーに近づいたらロッドワークでルアーを引き、カバーに当たった時点で一度止めて浮かし、そして引く、この繰り返しです。ロッドワークは横方向や縦方向へのストロークで何も特別なことはありません。多少、障害物を越えるときのルアーの動きをヒラを打つように意識するぐらいでほとんどテクはないと思います。
ただ水中を立体的にイメージすることは特に重要になります(これはカバークランクだけではなく、全てのクランキングにおいていえることですが)。
それから立ち木を打つ場合、絵に描いたようにトレースしようと思わないことです。例えば潜行深度3mクラスのルアーで立ち木の横を通して立ち木の水深3mをトレースするなんてことははっきり言って無理です(枝がありますから)。とにかくカバーをなめること、リアクションさせることだけを考えて釣るべきで、深い水深に魚がいると思ったら素直にテキサスやラバジを落とすか、メタルジグをしゃくるのが正解だと思います。
  クランキングのための状況判断
それでは次にクランキングのための状況判断のさわりの考え方を紹介します。
エリアセレクト
クランキングの意識的な重要事項として前述の「水中の立体的な想像」があるのですが、他の釣りとも共通する非常に重要な要素に「エリアセレクト」があります。
クランキング(というかハードルアー)におけるエリアセレクトは他の釣り以上にシビアです。その日その場所の状況を判断してルアーを投げずともポイントを見切ったり、魚の反応がなくてもその場所にこだわったりしなければなりません。これは明確に判断できるようになる必要があると思います(次項からいくつか紹介します)。

余談ですが以前Basserか何かで読んだ林圭一氏の言葉で、「そこに投げる理由を3つ以上即答できなければ投げてはいけない」というような言葉が私の記憶に焼きついています。この言葉を目にしたとき私は「3つは無理だ」と思いましたが、今ははっきり同感だと言い切れます。3つくらいは簡単に挙げられるくらい「状況を読め」、「考えて釣りをしろ」という意味だと理解しています。実際状況を読んで考えて釣りをしていれば理由はいくつも答えられると思います。
エリア
ではどのようなエリアがよさげなエリアなのでしょうか。
当然、ハードボトムやカバーといったクランクに適したターゲットはありますが、基本的にはシチュエーションで考えます。
私は常々バスは「シチュエーションに着く」と考えています。水通し、ベイト、水温、風当たりなどなど状況の良い悪いが存在します。より多くの良い要素を持ったポイントにバスは着く、もしくは条件が揃うとバスは口を使うと思います。バスが状況の良いところにやって来るとしても、もともといるバスが口を使うにしてもどちらでも構いません。釣り師としてはそこにルアーを投げるだけですから。

「バスはストラクチャに付く」というのは多分に誤解が含まれていて必ずしも正解ではありません。ストラクチャにつくことはつくのですがストラクチャならどこにあってもつくのかというとそうではありません。はじめにシチュエーションありきです。前述の良い条件の揃ったシチュエーションに絡んだストラクチャにバスはつくと考えています。逆に良いシチュエーションであればストラクチャがなくてもブレイクについたり、単なるショアラインについたりします。こういう場合は誰も攻めていないことが多いのでプレッシャーも低く単発でも良い魚が出たりします。
とにかくストラクチャよりシチュエーションが重要だと考えています。
(条件が揃わないストラクチャはもぬけの殻だということはみなさんもご存知のはずですよね)
風と波
風による波は魚の反応と言う意味では非常に重要な項目です。
風による波が溶存酸素量を増加させるため、まず活性が上がります。そして水面が波立つので人間や鳥などの外敵から発見されにくくなるため警戒心が緩みます(たぶん)。また太陽光を乱反射させるためルアーを見破りにくくなります。とにかく色々な要素がプラスに働くため、風が出始めたら一級のフィーディングスポットに直行します。

※当然、冬〜春は水温低下の原因になるため低活性を招きます。ただし同じ水温でも秋は良い方向に働くことが多いです。
何度も入り直し
前項で風が出始めたら一級スポットに直行すると書きましたが、これは1回や2回ではありません。ざっくり可能性のあるエリアの状況を判断して「ここしかないっしょ」というようなよさげなエリアはタイミングを変えて何度も入り直します。
これもかなり重要です。タイミングは必ずありますので。
  季節
次にクランクはどのような状況のときに確率高くなるか考えてみましょう。
私の場合、純粋にクランクに限定すると盛夏から晩秋となります。ただ私にとってはフローティングバイブもシャッドもクランクです。したがってそれらを含めて考えると春先から晩秋までといった真冬以外の年中となります。私は水温的に15度以上を目安にしています。
春:キーは「ポーズ」
春はやはり活性が高からずなため、ガリガリ巻いても食ってきません。この時期はシンキングルアーの方が良いかもしれません(スピナベを着底させて巻き始めたらガツンとか)。この時期ごく普通のクランクベイトは私自身ほとんど使いません。シャッド系をポーズやトゥイッチを入れながら使うことが多いです。
エリア的には風裏など水温の上がりやすくベイトも獲れるディープ隣接のシャローエリアが良いと思います。
スポーニングが終わるとカバーに着きますが、激しい動きのクランクは好まれないようです。私はこの時期、フロティングバイブを使います。
夏:キーは「層」
夏はトレースする層が最重要だと思います。
もちろん溶存酸素量を考慮した水通しの良いエリアと言うことが最重要で、そこに風とベイトが絡めば後は層をきっちり合わせれば活性の高いシーズンだけに爆釣もあります。
活性の高いシーズンですのであまり深く考えることもなく、がんがん打っていきましょう。
これはちょっとした裏技ですが、「プレッシャーはあまり高くないがイマイチ、クランク打ってもワームを引いても反応がよくないなあ」と感じるときは風当たりの良い岬やシャローフラットでベビーシャッドやベビークランクなどの極小クランクのただ巻きがめちゃくちゃ効くことがあります。ルアーのサイズは小さいですがバスは必ずしも小さくありません。サイズは選べませんがいい魚も来ます。この時期のベイトサイズがこの手のルアーにジャストマッチなのが原因かなと思っています。
(ノリーズから発売されたスピンシャローはこの釣り用ではないかと期待しています)
秋:キーは「エリア」
秋はターンオーバーを無視して考えることはできません。
以前コラムにも書きましたが水の良いところかターンが落ち着いたところと風当たり&ベイトを考慮してエリアを選択することが重要です。夏と違って秋は層をそれほど考慮しなくてもよいと思っています。水温が均一化しているし、食い上げるのでまずはエリアということになります。2m前後のものと4m前後のものの2つをロッドにぶら下げておけばいいでしょう。特にこの時期は地形に着くのでカバーには縛られないことも重要です。必ずしもショアラインぎりぎりに打つ必要はありません。
  ルアーセレクト
次にルアーの選択についてですが、クランキングにおけるルアーセレクトが重要なことは前述の通りです。
ただセレクト方法に「この場合はこれだ!」という万人に当てはまる正解はないと思います。人それぞれバスの状況を予測し、「以前こういう状況のときはこうだった」というものを経験から持っていてその応用でルアーをセレクトするはずです。人によって過去の経験は千差万別ですので同じ状況でも使うルアーが違ってきて当然です。
ただ一つ共通して言えることは自分がセレクトしたルアーを信じて使うことが重要です。「このルアーではこういう状態のバスが反応するはずだ」とか逆に「これで反応があればバスはこういう状態だろう」と言うようにルアーのセレクトに明確な目的が必要です。自信のないルアーでは集中できませんし、ポイントも見切ることもできません。クランキング自体成立しないと思われます。
これからクランキングをはじめようという方はとにかく自分が持っている他の釣りの経験とクランキングに関する情報を整理して、「釣れそうだ」と思えるルアーを引き倒してみましょう。その結果、釣れなければその原因を考え、次に生かしていけばよいと思います。
ちなみに私のルアーセレクトで気をつけている点について思いついた範囲で以下に挙げておきます。
バスより上を通せ!
基本的には魚がいると思われる深度のより浅い方から狙っていきます。そして反応がなければより深く潜るルアーへとローテするのが私のやり方です。理由は潜行深度が浅いクランクの方が引くのも楽だし、ロストも少ないということもありますが、釣果直結の理由として「バスより下を通すとバスに対してルアーより先にラインが行ってしまう」ことが一番大きな理由です。私の中ではこれは結構致命的です。
ピンで勝負
基本的にエリアが絞れていないときにクランクを使うと書きましたが、狙いがピンスポットになることも良くあります。例えば立ち木やスタンプが潜行深度ギリギリの深さにある場合です。このようなポイントにクランクを投入する場合、私が考えていることは「バランスを崩しやすいもの」を使うことです。
水中の立ち木の上っ面を引く場合、目に見えてしまうような浅い位置より、目に見えなくクランクがぎりぎり届くくらいの立ち木の方がプレッシャーなどを考えると有利となるため、そのようなところを狙いますが、その場合、立ち木との接触頻度はかなり少なくなってしまいます。このため1回の接触で思いっきりバランスを崩してしまって最高においしい動きをするクランクが最適だと考えます。
このように1投のキャストで継続して次から次へとポイントを舐めて行けないピンで勝負する場合は一瞬の動きを考えたルアーセレクトをしています。
ラインで勝負
今度は逆にブレイクやリップラップ、それらにちらばる岩やスタンプなどを打っていく場合は「バランス回復が早いもの」を重視します。ボトムをノックや1個のスタンプに接触しただけでバランスを大きく崩してしまうようなルアーでは効率が非常に悪いです。このようなときはバランスよく泳いで障害物と接触しても一瞬バランスを崩しただけで、すばやく回復し、次の障害物に接触してくれるようなタイプのルアーを好んで使います。
泳ぎで寄せろ!
私はリザーバへ行くことが多いですが、水深のあるポイントではクランクがボトムノックできない状況も良くあります。
例えば岩盤では岸と並行に引くことでできるだけサイドにノックさせようとしますが、ほとんどノックしていない状況になります。その他にも水通しがよくベイトがさしているエリアがたまたま水深があるようなショアラインの場合も同様です。このような場合、私は泳ぎで食わせられるルアーを使います。具体的にはロール系のアクションでカラーのトーン変化が得られるものやフラットサイド系など視覚に訴えるタイプのルアーです。
カバークランクキングはダイビングリップと強めのアクション
カバークランキングでは障害物回避性能が重要な要素となります。いくらおいしいアクションをするとはいえ根がかりしてしまえばポイントをつぶしてしまうので、全く意味がないと言えます。
スクエアリップは障害物回避性能が高いとよく言われますが、それはあくまで形状の話。それ以前の問題としてシャローランニングリップとダイビングリップの違いの方が遥かに影響度が高いです。シャローランニングリップとはラインアイがついていないリップのことです。この場合ラインアイはボディ(鼻先)についています。
それに対しダイビングリップはリップ自体にラインアイがついているものです。ラインアイがリップについていた方が潜行深度が稼ぎやすいのでこう呼ばれますが、深く潜らないダイビングリップ搭載クランクも多くあります。
ただ間違いなく言えるのはダイビングリップの方が障害物回避性能が高いということです。
また障害物回避に影響を与える要素としてラインアイ付近のリップの横幅が強く影響します。この幅が広いほど障害物回避性能は高く、狭いほど低いです。

まとめるとダイビングリップの幅広リップが障害物回避性能が高いと言えます。これにプラスしてスクエア形状だとさらに障害物回避性能が上がるということになります。ちなみにフックサイズも障害物回避性能に影響を与える要素です。有名な超人気ルアーでフックサイズをボディサイズからは考えられないような小さなものを装着して障害物回避性能が高いと世間に思わせているルアーもあるほどです。

ではカバークランキングで使うクランクは障害物回避性能が高ければそれでいいのかと言うとまだ重要な要素があります。それは強めのアクションとカラーです。
どのくらい強めかというのは千差万別でその時々で違いますが、相対的に通常のクランキングより強くする必要があります。
なぜかと言うと水押しがカバーに吸収&発散されてしまうためです。通常より強くすることにより、通常と同じ程度の水押しによるアピールをバスに届けるためです。カラーについても同様に、バスからルアーを見たときにカバーの存在がルアーを隠したり見えたりするため、少し強いカラーの方が見つけてもらいやすくなるためです。
ここまではセオリーですが、逆に例えば通常と同じ、もしくは弱いアクションやカラーを使うことによって立ち木を1本1本丹念に攻めることもできます。強くしてしまうと周辺のバスに気づかれてしまうところを気づかれずに1本1本釣ることができます。
この辺はそのときにバスの状況を自分がどう予測するかで使い方が変わりますので、必ずこうであるとは言い難いですが、その日の状況で確率が高そうに感じる使い方をするようにしています。
低活性時(シャッドによるジャーク&トゥイッチ)
水温の低い時期に動きの強いクランクをグリグリ巻いて釣る人はほとんどいないでしょう。それこそバクチとなってしまいます。水温が低い時期はクランクを追うことができないのではないかと思います。この時期は止めることが重要となります。したがってしっかり止まるクランクを使うことです。とはいっても純粋なクランクではなくシャッドとなりますが。
もちろんサスペンドの方が良いですが、神経質に完全サスペンドを作る必要はないと私は思います。取りあえず動きがピタっととまればその後、多少浮かんでも良いと思っています(沈むと使いにくいですが)。
見破れない範囲で最強アクション最強カラー(透明度とカラー)
バスと言う魚はバイト対象が餌かニセモノか見切る判断はする魚です。ルアーを追ってきても何かの拍子にUターンされた経験はほとんどのバス釣り師がしていることでしょう。
バスにルアーの存在を気づかせるには派手なカラーと激しい動きの方が良いですが、派手なルアーや激しい動きでニセモノと見破られては意味がありません。とはいっても地味なカラーと弱い動きで気づいてもらえないのもまた意味がありません。
これは「バランスを取る」以外の対処法は存在しません。その時々で水の透明度や水面の波、日差し、カバーの有無など色々な要素を考え、適度な強さのカラーとアクションを選択しなければなりません。当然、トライ&エラーでその日その場所の状況にアジャストしていくことになります。
現在の私は白系(ゴースト)、クローム系(キンクロ)、チャート系(ホットタイガー)の3種で考えます。基本は白、マズメ時はキンクロ、濁りがあればチャート系というのが最初の選択です。サイズによってもアピール度は変わります。例えばビッグディープクランクは地味目を使うことが多いとか。逆に透明度の低いところではディープになるほど派手にするとか。
とはいえ私はキンクロが好きなのでできる限りキンクロでハメにいきますが...
  タックル(竿、リール、ライン)
それでは次に使用タックルについてです。
春と秋はグラス
春は低水温、秋はターンオーバと活性低下の2大要因の季節です。活性が低いと言うことはそれだけルアーを吸い込む力が弱かったり、しっかり追いきれずにバイトするためルアーが口の中に入りづらい状況になりがちです。このためこの時期、ディープクランクにはグラスロッド、ライトクランクには柔らかい低弾性カーボンが私的なお勧めです。
ハイシーズンは使いやすい竿の方が釣果を伸ばせるかもしれません。これも一つの考え方ですがウィードエリアなどではカーボンロッドでウィードを切りながら釣っていった方が仮に食い込みが悪くてバイトが減るとしても、ウィードを切れないグラスロッドよりは効率が良いと思います。目的を持ってセレクトしましょう。
リールのギア比
クランキング用のリールはローギアとよく言われます。私もディープクランクについてはローギアのリールを使います。これは巻き抵抗の軽減と早く巻きすぎないためと自分のリズムに合うためにそうしています。
ただハイギアについてもメリットはあります。
高活性時の手返しのよさと、障害物に接触したときパワーがないので無駄に巻きすぎず、根がかりを回避させやすいことがあります。どちらでなければだめと言うことはないのでリールについてはギアのしっかりしたものであればギア比については自分に合うもので良いでしょう。
ライン
シャロークランクやカバークランキングについては障害物との当たりから使いやすい太さを使えばよいと思います。ルアーのサイズや引き抵抗により、太目のラインを使うのが良いでしょう。細くするメリットはほとんどありません。
ただディープクランクは事情が違います。それはラインの太さによって潜行深度が違ってくるからです(当然太い方が潜りません)。
直接的にラインの抵抗が原因で潜行深度が浅くなることはもちろんですが、間接的な要因としてラインが太くなることで飛距離が出なくなり、それにより最大潜行深度に達するために必要な助走距離が確保できなくなるためです。ディープクランクは引き抵抗が強いので14ポンド程度を使いたくなりますが、潜行深度を考えると10〜12ポンドに抑えた方が良いと思います。もちろん根がかり時にルアーをロストしやすくなりますので、ルアー回収対策は万全にする必要があります。ルアーを水中に残すことは環境破壊につながります。決して消耗品などと言わないようにしましょう!

次にクランキング用途でラインのタイプを考えるとフロロナイロンがラインの比重、使いやすさ、強度、適度な伸びなどトータルバランスが優れています。私はDUELのX-TEXコブラを使用しています(値段が高いのがネックですが)。
次点はナイロンですね。カーボンロッドなどの固めの竿を使う場合は伸びのあるナイロンの方が良いと思います。
フロロは飛距離とキャスト切れ、伸びのなさから巻物には使わなくなりましたが、強度と比重についてはクランキングに適しています。使うとしてもグラスロッドとの組み合わせで極限の深度が必要な場合など限られた用途でしょうね。
(ちなみに以前、私はフロロオンリーでやってた時代もありました)
  補足
本文の中で「状況に応じて」と書いている部分があります。これは決して「こういうときはこうだ」と言った決め事があるわけではなく、過去の経験と感覚で決めてしまうことが多いというものです。当然それでだめならアジャストしていくことになります。
例えば「状況に応じて使うクランクを変える」と言うのは風や透明度などによって存在感がどうかといったことを実際に水に入れて確かめてみます。そうすると「これではバスが見つけられないぞ」とか「あまりにも不自然すぎるな」という感情が沸くと思います。これはうまい下手ではなく何となくの感覚でよいでしょう。要するにそのルアーを信じて使うということが重要で釣れそうに感じるルアーを選択するための行為です。ただこの辺の判断は経験によるものが大きいかもしれませんが...この辺が言葉にできない感覚的な部分かもしれません。
  まとめ
さて長々書きましたが、取りあえず気づいた部分を書き殴ってみました。これが全部かというとそうではないはずです(よく言われているようなことは割愛してますし)。ほんとに無意識でやっている部分は言葉にならないと思いますし、全てを言葉にするのはやはり不可能です。

もしこれからクランクをはじめようと思っている方はとにかく「使い続けること」、これしかないと思います。上達に近道はありません。少しづつでも確率を上げていくよう焦らず取り組んでみてください。

P.S.
ちなみに私はクランクを使っていて「今日はクランクだめ!」と感じるときはデッキ上に10個以上のクランクが転がります。「もっと早く見切れよ!」と聞こえてきそうですが、これでいいんです。状況は見て回れてますので。私に言わせれば2,3個ローテしてだめと判断するのははっきりいって早すぎると思いますよ。

TOP