to ロードランナー
from 高弾性ロッド

最終更新日 2002年06月10日


  はじめに
私は2000年7月に全てのデストロイヤを手放し、ロードランナーに乗り換えました。乗り換えの一番の理由はその当時、デストロイヤの入手があまりに困難だったためです。

私はロッドをシリーズで揃えたいタチで自分の釣りで必要なモデルを網羅したシリーズを選び、そこから必要なモデルをピックアップするのが私のやり方です。
デストロイヤはそんな私にとって非常に不向きな竿になっていました。欲しいと思ったときに予約すると買えるのは来年になってしまいます。私はあるとき予約した竿がくるまで他のメーカの同様の竿を仮に使うようにまでなっている自分に気づきました。
「何やってるの?そこまでするなら他のメーカにすればいいじゃん」と。
そしてNewモデルをどんどん買っている金銭感覚の麻痺した自分がいることにも気づきました。
「こんなに釣りに金使っていいの?」と。

そこで自分のやりたい釣りに必要なモデルが網羅され、入手が困難でなく、しかも高弾性でなくモデルチェンジも少ない長く使えるロッドを探し、ロードランナーに白羽の矢が立ちました。
ロードランナーの定価は高いですがデストロイヤを10本近く定価近辺で売り払ったおかげで6本ほど買うことができましたし、ショップやモデルによっては〜30%OFFで買えるためそれ程?高いロッドではありません。

ロードランナーは田辺プロがアメリカから帰ってきてメディアに露出することが多くなってきましたので、気になっている方も多いと思います。そこで高弾性ロッドから中低弾性なロードランナーへ替えた私が実際どうなのかいうところを紹介したいと思います。
  こんな人にお勧め&こんな人は向かない
ロードランナーは非常に癖の強い竿です。というのも現在売っているほとんどのロッドが軽量高弾性なのに対しロードランナーは比較的重く低弾性ですので方向性が180度違います。このため合わない人にはとことん合いませんので、まず最初に私が思う向き不向きについてお話しておきます。

まずライトリグが主戦力の方やラバジロッドは硬ければ硬いほど良いと思っている方には向きません。またリールも軽いこと最優先の方には向かないでしょう。言ってみれば感度至上主義な方には向きません。プレッシャーの高い激スレなフィールドで3ポンド以下のラインを使う釣りを極めている方は間違っても買ってはいけない竿です。

逆に向く人はどのような人かというと、上記の向かない人の正反対のタイプなのですが、これは非常に難しいです。向くかどうかは使ってみなければわからないというのが正直なところなのです。ただキャストの精度に不満を感じている方やハードルアーを極めたいと思っている方は試してみる価値ありです。このような点を頭に入れて使うと非常にシックリくると思います。「何がどう良いか説明はできないけど、もうロードランナー以外は使えないよ」という方も多いのではないでしょうか。

竿というのは開発者のコンセプトに基づいて設計されています。このコンセプトが自分に合っていなければ竿を正当に評価できないでしょうし、言い換えればいくら良い竿でもそのコンセプトと自分が求めるものが違えば悪い竿と感じることになると思います。ですから田辺プロのスタイルがひとつの目安になるのではないでしょうか。

ここでちょっと恥ずかしい話を披露します。
私は以前デストロイヤを使い始めたころロードランナーを1本試しに買ったことがあります。それはデストロイヤの柔らかいスピニング(〜F2クラス)がどうしても馴染めず他を模索した結果、ロードランナーの630LSを買ったのですが、このときはロードランナーのデメリットばかりが気になり、すぐに手放してしまいました。
しかし実はその竿、現在の私のスピニングのメインロッドです(もう一度買いました)。

ということで過去のそのときの私はロードランナーの良さを良さとして捕らえることができなかったのですが、かといって「釣りがうまくなる→ロードランナーの良さがわかる」と言うわけではないと思っています。ただ自分自身正確なところはわかりませんが道具に求めるものが変わってきたのは事実です。
  ロードランナーという竿
ロードランナーはショップで触った感じより実際釣りに使うと硬く感じます。これはどういうことかというと今までより1ランク柔らかい竿で今までしていた釣りをすることになります。これは「することができます」ではなく、しなければなりません。うまく伝えられませんが、高弾性ロッドユーザの方がまずはじめに戸惑うことかもしれません。

例えば「今までグリフォンからX100クラスのプラグにMLを使っていたからロードランナーのMLを買ってみよう」と思ってロードランナーのMLを使うと「ロードランナーってこんなもの?」となるかもしれません。
実際そのクラスのプラグに最適なのはLです。ロードランナーはトルク(というかロッドの重量)があるのでワンランク柔らかい竿が使えるのですが、それを活かした使い方をしなければなりません。

この辺は言葉で説明するのが非常に難しいのですが、例えばルアーにロッドでアクションをつけるようなミノーのような釣りでメリハリのある動きを出すにはある程度固めの竿を使う必要があります。ミノーにはリップにかかる水圧に負けないロッドが必要です。ただそうするとアクションをつけたときに瞬時にティップを戻してもロッドでルアーを引っ張りすぎてしまう傾向にあるためルアーの動きを殺してしまいがちです。
それがロードランナーの場合、硬い竿を使わなくても竿の重量でメリハリある動きを出せるため、1ランク柔らかい竿が使え、アクションを入れたときに入り込むティップを戻すことにより(柔らかいのでタイミングがシビアでない)、ルアーの持っているアクションを活かしたアクションが出ます。
言い換えると柔らかい竿でも竿の重さでルアーに初速をつけることができ、柔らかいので当然入り込むティップをすぐに戻すことにより、後はルアー独自のアクションで動いてくれます。ちょうどトップ系ロッドでグラス素材が使われるのと同じ理由ですね。

1ランク柔らかい竿(重い)が使えるメリットは他にもあります。1番のメリットはキャスト精度の向上ですね。他にも食い込みがよくバイトが増えたり、ルアーの本来のアクションを引き出しやすかったり。全てにおいて竿が柔らかい分、タイミングがシビアでない点が生きてきます。
このため例えば「デストロイヤのこの機種の代わりになるのはこれだ」的な比較は不可能です。実際できる釣りの範囲が広ろく1.5本分はカバーしてしまうからです。

メリットだけを書いてしまいましたが少しデメリットも書いておきましょう。

竿が合わないというのは抜きにして言うと後はロッドの重さですね。ロードランナーのバランスの良い重さはメリットにもなっていますが、長くて硬い竿はキャスト時に手首が痛くなるほど重いです。田辺プロに言わせれば「鍛えろよ!」と言われそうですが辛い竿はありますね。

ちなみに私は乗換え時に今までの感覚で「ラバジ=MH→630MH」となり、630MHを買ったのですがこれは私には硬すぎでした。手首が痛い痛い。ピッチング用の竿でピッチングには何の問題もありませんがサークルキャストには向きませんね。後で600BSMHを買ったのですがこれでも少し硬かったです(こちらは手首は痛くありませんが)。私の場合600BSMで良いかもしれません。1/4ozのスイミングがメインですから。

基本的に腕力で投げるのではなく、竿の反発力で投げるロッドなので硬いロッドで軽量ルアーを投げると、上記のようになりがちです。反発力が使えませんから。

ちなみに比較的ライトなMLやLクラスのロッドについてはまったく気になりません。
  ロードランナーのこだわり
ロードランナーはデストロイヤなどのように何故このパーツを使っているかとかなどの田辺プロの「こだわり」の多くがあまり公表されていません。田辺プロの「わかるやつだけついて来い!」的な考え方もあるでしょうが、もう少し公表したほうがいいと思うのですが...
ロードランナーはハードルアーで魚がより多く釣れるように設計されていると思います。これはいろんな意味で言えることですがロドリの2002年5月号P46〜49の田辺プロの記事である程度紹介されていますので参照してください。
またコラム「ゴールドサーメットとSIC」、「コルクとEVA」、「ロッドの弾性」も参考になると思います。

その他、よくある疑問をFAQ形式でご紹介します。
Q1.「何故、ステンレスフレームなのか?」
「チタンフレームSICであれば買うのに」
ステンレスフレームはずばりロッドの曲がりを妨げないためです。これについては私もずっと疑問に思っていましたが、あるとき雑誌で田辺プロ自身が語っていました。
田辺プロはチタンフレームも試したそうですが、チタンフレームは硬すぎてブランクの曲がりを抑制してしまうらしく、そのために採用していないとのことなのです。ロードランナーの場合は売りであるあのダルい?ブランクを生かすことが重要なのでしょう。
それからティップ部にある程度の重量を課すことによってキャスト時のためやティップの回し易さなどキャスト性能の向上もあると思います。
ちなみにあの軟弱で分厚いコーティングも同様の理由ではないかと思います。
Q2.「どうしてゴールドサーメットなのか?」
設計思想はわかりませんが、明らかにラインの滑りがSICとは違います。それからSICと比較して柔らかく割れにくいというメリットがあります。私はこれらのメリットとデザイン的な面で採用されているのではないかと思っています。
確かにSICと比較してPEを使うと溝が掘れるとか重いとか言われます。しかしティップ部が重いと重さを感じる反面、ティップを回して投げるキャストがやりやすかったりもします。ブランクが高弾性でなければPEを使わない私にとってゴールドサーメットの方がメリットが大きいです。ゴールドサーメット+ナイロンラインのキャストフィールは非常に気持ちの良いものがありますよ。
ただゴールサーメットからSICに変えて1万安くなるのならそうして欲しい...
Q3.「古いロッドだし重いし、時代遅れでは?」
ロッドに求められる性能というものは今も昔も変わらりません。ロードランナーは魚を釣ることを目的とされたロッドです。よく「重い」と叩かれますが、逆にいうと「軽い」ということがそれ程重要ですか?。確かにライトリグにおいては特に軽さから来る高感度が重要な場面ははありますし、その点においてはロードランナーは非常に弱いと言わざるを得ません。私も実際1本ライトリグ用の軽量高弾性高感度ロッドが欲しいと思っています。しかしそれがバス釣りの全てではないと思います。
釣るための性能としてある程度の重量は必要です。重量がある程度あると今までやっていたことをより柔らかいロッドでできます。例えばジャークベイトを今までMLを使っていたのがLで良くなったり。当然柔らかければ食い込みもよくルアーの動きもより自然になります。
また重量があると太軸フックを子バスの上顎に貫ける性能は高くなりますし、ファイト中の口切れも柔らかければそれだけ防ぐことができます。
ロードランナーのこの辺の釣れる性能は言葉にするのが非常に難しくうまく伝えられないと思いますが、目に見えないメリットは非常に多いです(モデルチェンジが少ないということも精神安定上のメリットですし)。
Q4.「フロントグリップ...何あれ?」
ロードランナーのフロントグリップは思いっきり普通の黒いゴム(ラバー?)ですが、確かにあれには私も疑問です。もしかしたら重量バランス的なものかもしれませんが定かではありません。あのゴムのフロントグリップは濡れた手でも滑りにくいとは思いますが、フロントグリップを持つ機会はそれ程多くはないのでそれが一番の目的とも思えませんね...。
Q5.「パワーフレックスガイドシステムってなに?」
2002年5月号のロドリにも載っていましたがスピニングのハードベイトスペシャルに搭載された「パワーフレックスガイドシステム」には驚きました。
デストロイヤがトップガイドのみゴールドサーメットなのに対し、このシステムはバットガイドのみチタンフレームで軽量化しています。

この目的はロードランナーの材質で柔らかいロッドを作ると当然ブレが心配になりますが、バットガイドのみを軽量化してブレを早く収めることで解消しようとしています。ロードランナーの良さを活かすためのシステムと言え、メガバス右へ倣えの他のメーカに爪の垢を煎じて飲ませたいですね。

ちなみにニューガイドコンセプトは今では各メーカで採用されていますが、元々は田辺プロがガイドメーカである富士工業(株)と共同開発したものでロードランナーが初搭載モデルでした。
Q6.「1本買うならどれ?」
現在、今時の高弾性ロッドを使っている方でもロードランナーをメディアなどで目にする機会もあり、試しに使ってみたいと思われている方は多いのではないでしょうか?。私が最もロードランナーのメリットを感じることができるロッドをベイト、スピニングともに紹介します。

ベイトでは630LBを最初の1本としてお勧めします。このロッドを既成概念を捨てていろいろな用途で使ってみてください。極小プラグからザラ、マッドペッパーマグナムまで使ってみると、ロードランナーの良さを感じることができると思います。特にキャスト精度の向上に驚くでしょう。オカッパラーからボータまで誰にでもお勧めできます。

スピニングでは630LSか510LSの両ライトリグパフォーマンスでしょうか。ノーシンカーやスプリットショットなどのライトリグを使ってみてください。太軸オフセットフックを子バスの上顎にもフッキングできるはずです。
  ロードランナー購入時の注意
私は細かなことを気にするタイプですが気にならない方は無視してください。
コルク部にビニールシートが被せてあるか。
メーカ側で被せるビニールシートが1999年までは被せてありませんでした。したがってこれが被せてないと長年の在庫ということになります。また店頭でグリップが汚れてしまってる可能性がありますので注意が必要です。
フォアグリップの中心からブランクが出てるか。
田辺プロが本場アメリカので作らせていて職人の技術力を謳っていますが中心がずれていたり斜めに出ているものがあります。多少のズレは仕方がないのですが目に余るものは避けましょう。
意外と入手困難!?
ロードランナーは「Made in USA」で船便が一定間隔でしかでないらしく、メーカに在庫が切れてから生産されメーカに来るまで時間がかかることがあります。ですので注文してから届くまでに半年かかることがあるようです。私の場合、ショップや通販で探し回ってすぐ手に入れますが諸事情で買うショップを決めている方は注意が必要です。
  まとめ
最後にロードランナーは癖があるので合わない方は本当に合いません。ですからロードランナーが気になっている方や乗換えを検討している方も買うなら1本づつ買うことをお勧めします。まず自分が良くやる釣りに適した竿を使い、それでロードランナーが自分に合うか考えましょう。合うようでしたら乗り換えるなり、モデルを増やすなりしていく方がいいと思います。私もそうしました。

それからロードランナーが全てのロッドの中で一番よいといっているわけではありません。デストロイヤもいいですし、フェンウィックもよいです(他にエッジやコンバット系などいい竿はいっぱいあると思います)。要するに「どれが自分の感性に合うか」、「自分の釣りに必要な性能は何か」、それが重要です。

「重い」、「古臭い」というぱっと見の印象だけでロードランナーを避けるのは勿体無いということ、今時の軽量高弾性ロッドとは別の視点で作られた竿があるということ、今現在の花鳥風月には1番合う竿だということ(来年は違うことを言ってるかも?)をみなさんに紹介させていただいた次第です。少しでも参考になれば幸いです。

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