フリックシェイクの最大の特徴は、その形状がはじめから曲がっていること。 2004年の6月に高滝ダムで行われたJBワールドのトーナメントで、秦プロが4位に入賞したのがきっかけで生まれたワームだ。
実はこの高滝ダムトーナメントの前に、秦プロは韓国で行われたトーナメントに参加していた。その時に韓国の選手が(当時日本ではまだなじみが無かった)ジグヘッドワッキーで入れ食いになっているところを見せつけられ、帰国後、ジグヘッドワッキーが日本で効くのか、どのようなワームが適しているのかなどを研究した。そしていろいろと試した結果一つのキーワードがクローズアップされた。 「曲がったワーム。」 秦プロはタックルボックスやパッケージの中で歪んだり変形してしまったワームをかき集めて高滝ダムのトーナメントで実戦投入し、その読みは当たって入賞したのだ。 3日目の検量終了後、片づけをしながら桟橋で秦プロと話していると、「俺だけ釣れる凄いリグがある」と言う。そんなに凄いのか?と聞くとメチャクチャだと答えた。まぁ成績も良かったし、釣れて盛り上がっているのだろうという程度でその場は終わり、滋賀に戻った後日、なんだか気になってもう一度確認の意味も含めて秦プロに連絡を入れてみた。すると「相変わらず琵琶湖でも釣れていますよ。」と報告してくる。そんなんだったらすぐに見せに来て!とお願いし、ジャッカル前の水路で実際に泳がしてもらった。
見た瞬間、コレはっ!とピンときた。私の中の理屈と合致した。 曲がったワームにショートシャンクのジグヘッドをセットしてシェイクすると、まるで生き物のように動く何ともいえないアクション。 なるほどね、すぐに作るよ!となった。 ジグヘッドでネコリグセットして釣ることは、秦プロから聞く前からすでに知っていた。数年前からJBの試合中に中山プロが良い成績をだしていたし、数人のプロは実戦投入し、側で釣られたこともあったからだ。曲がったワームとセットするという発想は斬新だった。 その頃は曲がっている形状が良いという考え方が無く、曲がっているからという理由で捨てられてしまう事もあったワーム。しかし、これを見た瞬間、考え方が変わった。 その日のうちに1号プロトを作り、2日後には3種類の形状でテストできる状態にした。その翌日、タイミング良くバスワールドの取材があり岡山へ釣行。これが入れ食いになり、ジグヘッドワッキーと曲がったワームの組み合わせが凄いということが私の中で確定した! この状態になると寝ないでも釣れるルアーを作り始めてしまう私は、連日夜中まで仕事をして、1週間ほどで現在のフリックシェイクの形までこぎつけた。 形については秦プロを含めいろいろな意見があったが、私には絶対の自信があったので、そのまますぐに金型製作に入り2ヶ月後には製品化されたのだ。 発売当初は曲がったワーム?みたいなことも言われたが、実際に釣ってみせると誰もが納得する結果が得られ、あっという間に1つのテクニックとして定着していった。
エピソード ジャッカル前の水路で初めてジグヘッドワッキーのアクションを見てまず秦プロに確認したのは、誰かにこのこと話した?だった。「試合が終わってから雑誌社に話しましたよ」と言う。それって他のプロにも知られるってことだ。 釣れるテクニックはすぐに真似される。その時の会話はこうだ。 私「秦、このリグに何か名前付けて、俺達が編み出したみたいに最初に言っとかないと、そのうち釣れるとなったら他の奴が名前を付けて俺がオリジナルって言い出すぜ!なんか良い名前ないの?」 秦「韓国でヒントを得たから、コリアンリグってどうですか?」 私「 おまえなぁ、もっと釣り方とかルアーをイメージできるもの考えろよ・・・」 と、二人で知恵を絞り「1インチのショートシャンクのジグヘッドを使ってシェイキングするからインチワッキーが良いのでは?」となったのだ。 そんなことがあってから3ヶ月後、雑誌の取材や釣ビジョンのロケでフリックシェイクのインチワッキーは爆釣した!
ワンポイントアドバイス
インチワッキーで1.3gのシンカーをベースに、水深によって軽くしたり、重くしたりすると良いと思う。20センチくらい短くジャークするとボディーが細かく震え、魚がリアクション的に反応する。シェイクの合間にポーズを入れ、ショートジャークという組み合わせがどこの釣り場でも効くことが多い。 頭の部分にネイルシンカーを入れたネコリグもフォールの時にテールが微振動するので効果的。グリパン、コーラ、などが定番カラーだが私はナチュラルを多用する。 2007年にアミスタッドで優勝した時は、ワッキージグヘッド1.8gにグリパンとスヤマグリーンのフリックを2本掛けし、マイクロフリックのコーラをウイードガードにしたリグだった。 |