深山烏さん |
ito:POP MAX |
- | 2004/11/15 |
- | ★★★ |
|
遠投した上で、ピンスポットをウォークでじっくり攻める。トップに出きらないようであれば、ダイブさせ、水面直下をダータリングさせる。アクションパターンの柱は、ロールウォークとダータリングなので、この二つを状況に合わせて組み合わせている。但し、ウォークアクションは完全にピンスポット用なので、広いエリアを素早く探るのに使う場合、ダータリングに限定して使用する事もある。 |
|
優れた遠投性能。G・DOG-Xと同様、ビッグサイズにもかかわらず、優れた動作性能を誇っている。テールフェザーも美しい。 |
|
1996年に発売され、一挙にMegabass社のブランドイメージを押し上げたPOP-X。それに連なるアイテムとして、ファンの期待を一身に受け、ITOブランドから2002年に発売されたのが本作である。オリジナルモデルとはまた異なったフォーマットから作成され、複雑で凝ったハイドロメカを搭載している。
○メカニズム解析 POP-Xと同様、本作もアクションのメーンはポッピングではなく、ウォーキングである。そのため、カテゴリィとしては、一般的なポッパーの範疇には属さず、実はウォーキングペンシルベイトに近い。また、搭載されたハイドロメカの作用で、水面直下をゼロレンジクランクように引くことも可能なので、かなり特殊な部類のルアーとも言えよう。 POP-Xよりもサイズが一回り大きいのにもかかわらず、鋭角なウォークをさせることが可能なのは、トップウォーターシリーズではお馴染みの慣性バランサーに加え、高重心設計とウォーターフローシステムの作用である。斜め後方にアンダーフローされる水流が、ウォーク時、鋭角なターンを行うのを助長しているのである。 ダータリング時にハイドロメカがどのように作用しているかは、未だに良く分からないのだが、単純に内蔵型リップの作用をしていると解釈している。この辺りの工学的な専門知識がなければ詳細な解釈が難しいシステムは、少し悔しいが、ただただ「良く出来ている」と言う他無い。 ただ、POP-Xと比べ、奇麗なスプラッシュをあげるのは難しい。これは、水平浮きに近い設定の上、カップで受けた水流をほとんどインテークに取り込んでしまうからだと考えている。もっとも、着水直後の一瞬なら、上手くやればスプラッシュを演出できなくもないのだが…。 その他、横幅を大きく取ったボディの耐衝撃装置として、ボディ上部にリブを設けていたり、水への絡みを上昇させるスタビライザーとしてのフェザーフック設定しているなど、如才なき設計である。また、意匠は相変わらず凝っていて、造形的には文句のつけようがない。
○実行性能分析 近時における、この手のトップウォータープラグやサブサーフェイスベイトの肝要なポイントは、如何に見切られにくいアクションを演出できるかにあると、私は考えている。その点、このルアーはウォーク及びダータリングを組み合わせる事によって、さまざまなパターンを創出できるので、その点は十二分に満たしているだろう。しかしながら、実用面に関し、2つ問題があるように思う。 まず第一は、慣性バランサーの音である。かなり遠くからでも、『ジャッ、ジャッ』という音が聞き取れる派手な設定である。かなり活性の高い個体に仕掛けるならまだしも、今日のハイプレッシャーフィールドでこの設定では、同じスポットに通した場合、明らかにバスは警戒してしまうだろう。現に、このルアーを投げ続けて結果が出たことは無い。 第二に、あまりに高重心設計すぎて、セカンドアクションであるダータリングに移行するのが難しいという事である。確かに、トップに出きらないバスに対するダータリングは有効で、今までウォークから狙って速やかにダータリングに移行できた際に数回ヒットを経験しているが、それよりも肝心要の処で移行に失敗し、魚を散らしてしまった経験の方が多い。使い手の技量を要求するブランドから出ているので、その辺りは個々の工夫や技術で何とかしろと言うことかもしれないが、もう少し何とかならないだろうか。
○総括 デザインや設計は高度なのだが、今ひとつ破壊力に欠ける感がある。ややサイズの大きなルアーなので、数が釣れなくとも、いいサイズが獲れていれば高評価を与えるのだが、現在のところ、レギュラーサイズの個体しか釣れていない。ただ、2004年も11月に入って2本ほど結果を出してきたので、これからの経過を更に観察する必要もある。この経験がなければ、本作を『ITOブランドのイメージリーダーとしてのプロモーションモデル』と評釈し、私のインプレで初めて★2つにする予定だったのだが、最終的には★3にすることにする。
Megabassユーザー以外へのお勧め度★ |